P4夢―日常―

うちの子と幼なじみたちの日常。
続きから。

４月。転入生が来た。しかも、都会から。
都会っていうと沖奈市みたいな感じかな。
ひなたは想像する。貧困な想像であるのは仕方ない。
彼女はほとんどこの町、八十稲羽市から出たことがなかった。
すごいなぁ都会。

「何、ヘラヘラ笑ってんだ？」
声をかけてきたのは幼なじみ。
突然の声にひなたの体は跳ねる。
ひなたはびっくりした、というように胸を撫で下ろし、ノートを開けた。

ヘラヘラなんかしてないもん。

ノートに大きくそう書く。
「ああ、ヘラヘラっていうかニヤニヤか」
「なぁに想像してたんだよー」
幼なじみのからかいに乗って、その親友が面白がる。
ひなたは２人を見て、むくれる。

ニヤニヤしてない！都会ってすごいんだろうなぁって思ってただけだもん！

「……ああ、転校生か」
お前、まだ見たことなかったっけ、と問う幼なじみにひなたは頷く。
「あいつさ、結構面白いやつなんだぜ！バスケ部に入ってきたからさ、今度紹介してやるよ」
幼なじみの親友は笑う。


これが声の出せない少女――槙塚ひなた――と幼なじみ――長瀬大輔――とその親友――一条康――の日常である。